| V-DOSCの技術 |
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1. ラインアレーと同一平面状対称 |
これは長方形の“ワンボックス”システムで、一本の直立した柱状にスタックまたはリギングして使うように設計されています。この一本の柱が、各キャビネットに入っている個々のユニットに対して一つのシンプルなラインアレー(線音源)を生み出します。
又、同時に同一平面状対称(Coplanar Symmetry)というもう一つの概念を作り出しますが、これについては後で触れます。 |
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2. アコースティック ローディング |
中域および高域のユニットをVの形に アコースティック ローディングすること V-DOSCの名前の由来です。 DOSCはDIFFUSEUR
d'ONDES SONORES CYLINDRIQUES(円柱状音波の拡散)の略です。
幾つものキャビネットを大型アレーに組んだ時に、音源がお互いに隣のフィールドを侵害しないようなシステムを作ることが出来れば、単独のコヒーレントで水平方向に広がった弓形の波面を作ることができます。この円柱状の波面がV-DOSCのポイントです。
円柱状波面 (Sylindrical Wavefront) は、サウンドの伝播全体に非常に異なった影響を及ぼします。これまで当たり前とされてきた物理の原則を文字どおり捻じ曲げ、サウンドの世界を新たな段階に導いています。
円柱状波面 (Sylindrical Wavefront) の現象において大事なのは、個々のユニット構成と隣接キャビネットの正確なカップリングにあります。この原則を理解するには、ヘイル博士とアーバン教授がAESで発表した研究結果の中の二つの鍵となるポイントを要約してみるのが一番です。
※N個のまったく同一な音源を組んで作った平坦で均等なアレーは、以下の条件のうちの一つが満たされていれば、同じ形状の単独の音源と同じ事です。
a) 波長はアレーのステップよりも大きい。 {1}(f <1/3ステップ)
b) アレーに占める割合は80%以上。 (各音源がフラットで位相が合っていると仮定して)
(つまり放射源の総面積は少なくともアレー総面積の80%に等しくなくてはならない。)
V-DOSCシステムはこの両方の条件を満たしています。
二つのV-DOSCユニットの中心間の距離は、低域で0.45m、中域で0.22mです。
a)の基準に従って考えると、低域のカップリングは730Hzよりも下の周波数であれば全く問題はなく、中域のカップリングは1460Hzより下の周波数であれば全く問題なくありません。
V-DOSCのクロスオーバー周波数は200Hzと1300Hzに設定されているので、a)の基準は満たされています。
高域のカップリングは、b)の基準を満たすリボン型のフラットで位相の正しい波面を作るDOSCウェーブガイドの二つの出力エリアの端と端を合わせて垂直に配列することで行っています。
このように1台のV-DOSCキャビネットは、まったく同一のキャビネットで構成される大きなアレーの一部分として設計されています。
ラインアレーを構築するために二つの標準的な構成のカップリングが考えられます。一つ目の構成は、4台かそれ以上のエンクロジャーの単純なスタックです。これは特にロングスローに適しています。このシステムは単一の純粋な円柱状ウェーブジェネレーターとして機能します。この“カップリングされた”スタックは、大型のアリーナタイプの会場で、ラインアレーのトップレイヤーとして組み込まれるのが標準的な使い方です。
二番目の構成は、エンクロージャーを0度から最大5度の角度をつけてスタック又はリギングした、わずかにカーブした縦型アレーです。実際には2.5度を最適角度としていますが、カバレッジの要求条件に従って1.2度、2.5度、4度そして5度が良く使われています。理論的に、またコンピューターシミュレーションによると、個々のユニット間に角度を付けてシステムを組むと、限界周波数より低域ならどの帯域であっても完璧にコヒーレントなカップリングが可能となるはずです。限界周波数はその角度によって変化します。角度が5度の場合には限界周波数は12kHzで、角度が狭くなるにつれて周波数は高くなり、角度0度で16kHzとなります。従って縦形にスタックまたはリギングしたV-DOSCエンクロージャーのラインアレーは、縦方向のカバレッジが0度(この場合縦方向のカバレッジはスタックの高さと同じ高さになる)から(N)個
x 5度までの完璧にコヒーレントな音源を提供することができます。
水平方向のカバレッジは90度のままです。水平方向のより広いカバレッジが必要な場合には、当然予測される干渉の問題を避けるために規定の距離(最低15m)をあけて別のスタックをセットアップします。
水平方向のカバレッジエリアの範囲内で、どのような角度でも完璧なコヒーレンスと一貫性を実現するために、更に踏み込んだコンセプトが打ち出されています。それが同一平面状対称(Coplanar
Symmetry)のコンセプトです。
理想的には球面状波の発生器(つまり他のすべてのサウンドスピーカ)は、一定の指向性を持った点源(ポイントソース)として機能しなくてはなりません。それには同軸スピーカーが最適です。そこで非常に背の高いリボンから円柱状の音波を発生させるV-DOSCシステムでは、水平方向の軸から外れた部分のサウンドの一貫性を、中央の垂直平面の両側にユニットを対称に配置することによって実現しています。従って同一平面状対称(Coplanar
Symmetry)のコンセプトに関して従えば、ウェーブガイドの高域アウトプットはエンクロージャーの中央の垂直平面にあり、中域ドライバーはそのアウトプットの両側に左右対称に配置され、低域ドライバーはその中域ドライバーのまた両側に配置されています。つまり1台の大きな同軸スピーカーを構築しているわけです。

上記のコンセプトや事実を一つに結び付けることにより、V-DOSCシステムは円柱状波スピーカーとして機能します。こうした物理の法則が一つに組み合わされて、ラウドスピーカーのエンクロージャーの技術に応用されたことは今までなかった事です。
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| V-DOSCの実力・SPL値 |
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現実世界での円柱状波 |
現実に面積を持つ音源はすべて、ニアフィールド(近いフィールド)とファーフィールド(遠いフィールド)を作り出します。後者は広く知られており、しばしば音波のCADプログラムに使用されます。ファーフィールドでの音波の強さは距離の逆2乗則で減じ、このフィールドはフラウンホーファーの解説に一致します。このファーフィールドは一般的にオーディエンスエリアから無限遠までです。(以下フラウンホーファーゾーンと表記)
ニアフィールドの音波の性質は、最初にフレンズネルによって説明されました。従ってこのニアフィールドエリアをこの後フレンズネルゾーンと表記します。ニアフィールドは音源と直接接触しているポイントから、Dlim(Distance
Limit/距離限界)までのエリアのことです。Dlimは周波数に従属しており、下記の等式にしたがって変化します。

音源からの距離がDcより大きければそれはファーフィールド、またはフラウンホファーゾーンになります。音源からの距離がDcより小さければ、それはニアフィールドまたはフレンズネルゾーンになります。
重要: 距離Dcは地理的な境界ではなく、一定してもいない。これは周波数の関数である。

ヘイル博士はAESでのプレゼンテーションの中で、下記の三つの結果を使い、従来のポイントソース音場と、コヒーレントなラインアレー音源の音場におけるSPL、距離、周波数の関係を詳しく解説しました。
| 1) |
ポイントソースは、下記の性質に従って音場を作る。 |
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a) |
音波の強さは距離の二乗で減じる。
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b) |
音波の強さは所定の距離において周波数に従属的ではない。
(音源で生み出されるエネルギーは周波数に対して一定だと仮定される。) |
| 2) |
コヒーレントなラインアレー音源はゾーンによって二つの違う性質を持つ音場を作り出す。
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a) |
フレンズネルゾーンでは円柱状波面の伝播特性に従って、強度は周波数に比例して、また距離に比例して減じる。
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b) |
フラウンホファーゾーンでは音場の性質はポイントソースの場合と同じである。 |
フレンズネルゾーンは通常、範囲が非常に狭くオーディエンスにも到達しないため、ダイレクトラジエーティングドライブユニットにしか関係がありません。
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V-DOSCのSPL値 |
V-DOSCにおいては、フレンズネルゾーン(ニアフィールド)が音源の関連する大きさの二乗に比例して広がるため、このゾーンはオーディエンスエリアの大きな部分を占めます。
“ニアフィールド”がオーディエンスエリアに広がることによって、一定の測定可能な違いがすぐに明らかになります。従来のシステムのアコースティックプレッシャー(SPL)と、V-DOSCシステムのSPLを比較したデータを下記します。基準として、二つのシステムは10mでSPLが120dBとなるように調整されています。
| DISTANCE |
SPL
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| TRADITIONAL
SYSTEM |
V-DOSC |
| 10m |
120dB |
120dB |
| 25m |
112dB |
116dB |
| 50m |
106dB |
113dB |
| 100m |
100dB |
110dB |
| 200m |
94dB |
107dB |
SPLのチャートを見ていただければ、特にSPLと減衰に関してV-DOSCがあらゆる大型の従来システムよりも優れた性能を持つことがわかります。従来のシステムと比べると、“くし形フィルタ効果”をなくすだけで、かなり数の少ないキャビネット及びパワーアンプで同じSPL値を達成することができます。従来の±3dBの変動のSPLでカバレッジを決める場合、球面状波(従来のシステム)だと減衰は音源からの距離が2倍になるごとに6dBであり、カバレッジ距離は1対2の比率以内です。
円柱状波ジェネレーター、つまりV-DOSCの場合には、円柱状音場の範囲内では減衰は距離が2倍になるごとに3dBにすぎません!! つまりカバレッジ距離は1対4の比率以内となります。
水平方向のカバレッジは角度によって決まるので、実際のカバレッジエリアは、同じSPL値を距離“1”で達成する従来のシステムと比較すると4倍となります。
水平方向のカバレッジは前述の通り90度です。この水平面ではV-DOSCの反応は純粋に単独の音源として機能し、オーディエンスに合わせた調整も正確に予測することができます。
垂直方向の音場はかなりの長距離にわたり同じ高さを保ちます。この状況は、エンクロージャーが0度でスタックされている場合には特に顕著に現れます。カバレッジエリアからはずれた音場での減衰は-13dBか、多くの場合これよりも大きくなります。これにより反響する部屋や、近隣に騒音の問題を起こしていたこれまでコントロール不可能だった状況下での、邪魔な反射や外部への漏れが最小限に押さえられています。世界中の小さなホールやアリーナにとってこれがどんな意味を持つか考えてみて下さい! 水平方向及び、垂直方向に決められたカバレッジを持ち、しかも会場の後方まで音を飛ばすためのディレイスピーカーも必要ありません!!
もう一度SPLチャートを見てみると、最大距離で必要な音圧レベルを得るには、V-DOSCの場合には従来のシステムと比べて小さいゲインで、しかも比較的短い距離で済むことがはっきりと示されています。
距離と減衰の法則がいままでの考え方と違うためです。さらにV-DOSCシステムの波面のコヒーレンスは、くし形フィルタ効果によるエネルギー損失と、空気と非反射表面による吸収を防ぎます。事実、円柱状波の伝播によってハイエンドでは明らかな音のリフティングが見られます。
この三つの理由だけを考えても、非常に高いSPL値を長距離で実現するのに必要なエンクロージャーの数は従来のシステムと比べて大幅に少なくなり、結果としてアンプの数も減り、消費電力も減り、トラックに積む機材のスペースもかなり減少します。 |